車の状態を図る上で、走行距離が着目されるケースが多いです。走行距離が長くなれば、経年劣化が進行して車の寿命が徐々に短くなっていくと考えられています。
では、実際に車の寿命と走行距離に相関はあるのでしょうか?本記事では、車の走行距離と寿命との関係性について、寿命を迎えた際の対処法を含めて解説します。
古くは車の寿命は”10年10万km”と言われていた
車には、明確な寿命はありません。車をどのように乗っていたのか、そしてメンテナンスを適切に実施していたのかなどによって、寿命は大きく異なります。
一般的な目安として、古くは車の寿命は”10年10万km”と言われていた時代がありました。新車登録から10年または走行距離が10万kmを超えたあたりから、故障して乗れなくなる車が多くみられたためです。
ただし、現在では車の耐久性や信頼性が向上したことで適切にメンテナンスしていれば10年や10万kmを超えても乗り続けられるようになりました。
“10年10万km”は現代では必ずしもそうではありません!
一方で、走行距離が10万kmで交換が推奨されるパーツがあるのは事実です。また、10年経過すれば新しい技術が誕生して古さを感じられるようになるため、車の価値としては下がる傾向にあります。
車の寿命を判断する2つのポイント
車には明確な寿命の目安はないものの、以下2つのポイントによって寿命が近いかどうかを判断可能です。
- 新車登録から13年から15年経過したタイミング
- 走行距離が10万kmから15万kmを経過したタイミング
各ポイントの詳細は、以下のとおりです。
新車登録から13年から15年経過したタイミング
一般財団法人自動車検査登録情報協会が公表している、車の平均使用年数のデータがあります。これによると、令和3年3月末の軽自動車を除く平均使用年数は、13. 87年となっています。
前年に比べて0. 36年延びていて、さらに10年前と比較すると1. 44年延びているのです。
これだけ平均使用年数が伸びている背景として、自動車メーカーの技術向上が進み、故障率や事故率が低下しているためです。
自動車メーカーは日進月歩で技術革新して信頼性の高い車を作り出しているのです。
以上から、新車登録から13年から15年経過したタイミングは寿命の1つの目安と言えるでしょう。
走行距離が10万kmから15万kmを経過したタイミング
走行距離が10万kmから15万kmを経過した場合も、車の寿命が近づいていると言えます。10万kmを超えたあたりから、徐々にエンジンを筆頭にさまざまなパーツの故障率が上がる傾向があります。
特に、以下のパーツを交換しなければならないケースが多いです。
- タイミングベルト
- ブレーキローター
- ブレーキキャリパー
- ウェザーストリップ
- ウォーターポンプ
- オルタネーター
- ヘッドライトレンズ
- フューエルフィルター・ポンプ
- ブッシュ・ブーツ
- ショックアブソーバー
車の根幹に関わる、交換費用が高いパーツが多いです!
10万kmを超えると、車の価値としても下がってしまう傾向があるので、故障頻度や修理にかかる費用も考えてこのタイミングで手放す場合が多いです。ただし、実際にはメンテナンスを実施すればまだまだ乗り続けることができます。
適切にメンテナンスすれば走行距離が15万kmを超えても問題ない
普通車の平均的な年間走行距離は1万kmと言われており、走行距離が15万kmを超えると15年近く経過している可能性がある車となります。
それでも、定期的にメンテナンスしていれば15万kmを超えていても問題なく走行可能です。
特に、以下のメンテナンスなどを欠かさず実施するようにしましょう。
- こまめに洗車する
- エンジンオイルを交換する
- タイヤの点検・交換を実施する
- バッテリー交換を実施する
- タイミングベルトを交換する
- 車にとって優しい運転を心がける
- 運転や管理方法を意識する
各方法について、詳しく解説します。
こまめに洗車する
車の寿命を延ばすために、こまめな洗車は欠かせません。洗車は、一般的には車に汚れが付着していると見栄えが良くないため実施するイメージがあるものです。
ただし、付着している汚れのなかには車にダメージを与えるものが少なくありません。たとえば、排気ガスなどが原因となる酸性雨によって、付着し続けた状態となると塗装面が劣化してしまいます。
また、沿岸を走行する際に海水を含んだ水しぶきを浴びたり、降雪地域において道路に散布される凍結防止剤が付着したりして、ボディが錆びてしまうのです。
特に凍結防止剤の付着は避けられないので注意が必要です。
エンジンオイルを交換する
エンジンが常に一定のパフォーマンスを維持するために、エンジンオイルの果たす役割は大きなものがあります。
エンジンオイルは、主に以下の役割を担っています。
- 冷却作用
- 潤滑作用
- 密封作用
- 防錆作用
- 清浄作用
エンジンオイルは、使用し続けると徐々に汚れが蓄積されていき劣化していきます。そのまま交換しないと、エンジンに負荷がかかりエンジンを含め車の各所に不調をきたす場合があるのです。
エンジンオイルを交換しないと燃費が悪化するなどのデメリットもあります。
エンジンオイルは、ガソリン車の場合は通常使用で15,000kmまたは1年ごとの交換が推奨されています。定期的にエンジンオイルを交換し続ければ、15万kmを超えても走行できるでしょう。
タイヤの点検・交換を実施する
車の寿命を延ばすためには、タイヤの点検や交換は欠かせません。タイヤの場合、走行の有無に関係なく4年程度でタイヤの表面のゴムが経年劣化します。
また、4年経過していない状態でもタイヤの亀裂やヒビが発生している場合や、溝の深さが3.2mm以下になっている場合、交換の目安です。
交換せずに乗り続けるとパンクして事故に発展する可能性があるので注意してください。
タイヤのコンディションの確認として、空気圧のチェックや外観による確認はこまめに実施しましょう。
バッテリー交換を実施する
車に搭載されているバッテリーは、エンジンを動作させるために欠かせないものです。バッテリーにも寿命があり、2年から3年程度が目安となっています。
バッテリーは、カーナビやオーディオといった電装品が多い車の場合、寿命がより短くなる傾向があります。バッテリーが劣化すると、以下の症状が見られる場合が多いです。
- エンジンのかかりが悪い
- ヘッドライトが暗い
- ワイパーなどの動きが遅い
- バッテリー液の消耗が激しい
もし、バッテリーが劣化した状態のまま乗り続けると、発電部品が故障するリスクがあるので注意が必要です。
よって、定期的な交換もしくは少しでも症状が見られた場合は即座に交換するのがおすすめです。
タイミングベルトを交換する
タイミングベルトとは、クランクシャフトの回転力をカムシャフトに伝えて、点火のタイミングやポペットバルブの開閉といった、タイミングに関わるパーツのことです。
タイミングベルトは、通常10万kmが交換の目安となり、基本的に耐久性の高い部品です。
ただし、10万km未満でもささくれが発生したり、異音が発生したりする場合があるので劣化が見られた場合は早急に交換してください。
車にとって優しい運転を心がける
車にとって優しい運転をすることも、寿命を延ばすために必要な行動です。特に、急発進や急制動などの運転は、エンジンに大きな負荷がかかり、ブレーキにも負担がかかります。また、燃費にも故障の原因につながるため控えましょう。
運転や管理方法を意識する
運転や管理方法を意識するだけでも、寿命を延ばすことは可能です。たとえば、時間にゆとりを持って運転すれば、慌てて運転するよりも事故を発生させる可能性を減少できます。
また、日差しに当たらないように屋根の下に駐車するなどの細かな心掛け1つでも、寿命を延ばせるのです。
寿命を見極める5つのポイント
車の寿命を迎えそうかどうかを見極める際には、以下のポイントに着目してください。
- タイミングベルトの状態を確認する
- バッテリーの状態を確認する
- エンジンの状態を確認する
- 異音の有無を確認する
- 部品供給状況を確認する
各ポイントの詳細について、解説します。
タイミングベルトの状態を確認する
10万kmが寿命となるパーツとして、タイミングベルトが有名です。タイミングベルトは、交換すると5万円程度の費用がかかります。ほかのパーツに比べて高価な部品であり、交換が必要になった場合に躊躇しがちです。
また、タイミングベルトはエンジンカバー内部にあるので目視できず、日常点検などで劣化状態を確認しなければなりません。
劣化時の特徴として、キュルキュルという異音が発生するため、異音の有無で状態を確認する方法がおすすめです。
バッテリーの状態を確認する
車のバッテリーの状態は、電圧を測定することで確認可能です。バッテリーチェッカーを用いて測定し、通常時が12.5Vから12.8V、エンジン始動時は13.5Vから14.5Vが正常値です。
もし、低い数値となった場合は交換時期が近付いていると言えます。
エンジンの状態を確認する
エンジンは、車の中でも重要な箇所となります。エンジン内部の水やオイルが漏れていないかを確認することで、エンジンの状態をチェック可能です。また、異音の発生や走行時の違和感などによっても、状態を確認できます。
もし、エンジンが故障した場合は数十万円の修理または交換費用がかかるので、実質的に乗り換えが選択肢となるでしょう。
異音の有無を確認する
車から異音が発生していないかも、よく確認したいポイントです。異音が発生している時点で、車に何かしらの不具合が生じている可能性が高いです。
また、現時点では故障していなくても、故障する予兆であり最終的に故障して寿命を迎える可能性があります。
異音が発生する可能性があるのは、主に以下の部位です。
- エンジン回り
- ブレーキ
- 排気系
- 足回り
- ホイール・タイヤ
- エアコン
実際に走行したり停車させたりした状態で、異音の有無をよく確認してください。
部品供給状況を確認する
車の寿命を見極める際には、部品の供給状況を確認してください。車の部品は、新車生産が終了した後10年から15年程度は供給される場合が多いです。
また、最近では車の部品の共通化が図られているので、比較的部品の供給時期は長くなっています。
ただし、いつかは供給が途切れてしまうものであり、部品の供給状況を確認し、代替がない部品の供給が終了したら次故障したら寿命を迎えると判断しても良いでしょう。
車の寿命を感じた際に考えるべき3つのこと
車の寿命を迎えたと感じた場合、以下3つの方法から今後どのようにすべきか選択する必要があります。
- 車を修理する
- 売却を検討する
- 廃車を検討する
各方法の詳細は、以下のとおりです。
車を修理する
車の寿命を迎えた場合、修理した方が良い場合があります。特に、新車で購入してから3年以内の場合は、まだ保証期間内であることから無償で修理してもらえる可能性があります。
また、走行距離が10万km以内の場合で走行に支障をきたさない場合は修理した方が良いでしょう。一方で、10万kmを超える場合の修理は交換が必要な部品が多く、30万円以上かかることも多いです。
実際に無理に修理しない方が良いケースが多いです。
乗っている車に愛着がある場合を除いては、基本的に売却または廃車を選択するのがおすすめです。
どうしても修理が必要になった場合は、URBAN GARAGEにご用命いただければ親切丁寧に修理対応させていただきます。
売却を検討する
寿命を迎えた車であっても、売却できる場合が多いです。たとえ故障していたとしても、買取価格は期待できないものの売却できる可能性があります。
これは、部品取りの目的で買取対応してもらえるのです。
廃車を検討する
修理するのに高い費用がかかり、売却も難しい場合は廃車を検討してください。廃車買取業者に依頼すれば、廃車の手続きやレッカー代などが無料で実施してもらえる場合があります。
これにより、費用をかけることなく寿命を迎えた車を手放すことが可能です。
寿命間近の車を修理する方法
寿命間際の車を修理する場合、以下の選択肢から最適な方法を選びましょう。
- 通常の方法で修理する
- レストアする
それぞれの方法の詳細や、注意点などを紹介します。
通常の方法で修理する
特に修理にこだわりがない場合、通常の方法で修理するのがおすすめです。修理を依頼できる場所としては、主に以下が挙げられます。
- ディーラー
- 大手カー用品店
- 整備工場
ディーラーの場合、純正部品を使用するので修理費用は高めです。一方で、サービスの質が高く信頼できる特徴があります。
大手カー用品店や整備工場の場合、なるべく安い部品を使用して修理対応してくれます。
ただし、特に整備工場の場合は対応にばらつきがある場合が多いです。また、交換が必要な部品が生産終了している場合があり、実質的に修理できない可能性もあります。
URBAN GARAGEでは、親切丁寧にお客様の大切な車を修理させていただいています。
レストアする
レストアとは、主に旧車で見られる修理方法の1つです。必ずしも故障の修理だけでなく、まだ使用できる部品を交換する場合もレストアと呼びます。
レストアの場合、部品の供給が終了していても同型の車から移植するなどの方法で走行できるような状態とすることができます。レストアの期間や費用については、修理内容や部品の希少性などより大きく変化する場合が多いです。
寿命間近の車を売却する方法
寿命間近の車を売却する方法として、以下から選択する必要があります。
- 中古車販売業者の買取を利用する
- ディーラーで下取りしてもらう
- 個人売買する
各方法の詳細について、解説します。
中古車販売業者の買取を利用する
寿命間際の車は、中古車販売業者から買取してもらえます。買取の場合、多少故障している車であっても買取金額が付く場合が多いです。
また、出張査定などの便利なサービスを利用できる場合があり、手軽に売却できます。一方で、一部では不当に安く買取しようとする業者がいるので注意してください。
URBAN GARAGEでは、熟練したスタッフが車両の状態を細かくチェックして、最初から最高の査定額を提示しています。また、LINEでの簡単なオンライン査定が可能であり、手軽に売りたい人にもおすすめです。
さらに、自動車委託販売サービスも提供しているので、是非お気軽にご相談ください。
ディーラーで下取りしてもらう
新車の購入を検討している場合、ディーラーに下取りしてもらう方法もあります。下取りは、あくまでも新車購入を前提として、現在乗っている車を買取してもらう方法です。
下取りの場合、新車の値引きが難しい場合に実質的に下取り額を増額して実質値引きしてくれる場合があります。ただし、買取金額は買取よりも低い場合が多いです。
個人売買する
個人売買とは、車を探している個人に対して直接車を売る方法です。業者などを介さないため、中間マージンが発生せず高く売れるケースが多いです。また、知人に売る際はスムーズに取引を進められるメリットがあります。
ただし、寿命間際の車を売る際には、状態の良し悪しで認識の違いが生まれ、トラブルに発展するケースがあるので注意してください。
まとめ
車の寿命は、年々長くなる傾向があり同じ車に継続して乗り続けられるようになりました。ただし、どれだけメンテナンスしていても寿命を迎えてしまうものです。
また、適切に管理されていない車は寿命が短くなってしまいます。本記事で紹介した内容を参考に、少しでも寿命を延ばす対応を図りましょう。
また、寿命を迎えそうな車の処分に困っている場合、URBAN GARAGEまでお気軽にご相談ください。