ヘッドライトの光軸調整は自分でできる?車検基準や調整方法を解説

ヘッドライトの光軸がズレていると、夜間の視界が悪くなるだけでなく、車検にも通らなくなるため注意が必要です。

この記事では、ヘッドライトの光軸の概要や車検への影響、調整を自分で行う方法を紹介します。プロに依頼する場合のメリットやよくある質問、料金目安についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

ヘッドライトの「光軸」とは?

ヘッドライトの光軸とは、ライトが照らす光の向きを指します。視界確保と安全運転のために重要で、車検時の合否にも関わります。

ヘッドライトには「走行用前照灯(ハイビーム)」と「すれ違い用前照灯(ロービーム)」があり、ハイビームは100m先、ロービームは40m先を照らすよう設計されています。

かつてはハイビームで光軸検査が行われていましたが、以前はハイビームで検査されていましたが、1998年9月以降の車両はロービームでの審査に変更され、2024年8月からは完全移行されました。

ロービームは対向車への眩しさを抑えるため、光の上部をカットする「カットオフライン」が設けられています。日本の基準ではこのカットラインが左上がりになっており、歩行者を照らしやすい構造です。

検査では「エルボー点」という境界の位置を測定し、基準から外れていると不合格になるため、事前の確認や調整が欠かせません。

ヘッドライトの光軸がズレる原因

ヘッドライトの光軸は、振動や衝撃によって簡単にズレてしまいます。特に段差を乗り越えたときや縁石に接触した際、車体に強い負荷がかかると光軸が狂いやすくなります。

また、バルブ交換時の調整不足も原因の一つです。純正バルブから社外品に変えた場合、光の照射方向が微妙に変わるため、適切な位置に調整し直す必要があります。

わずかなズレでも視界が狭まり、車検に落ちる可能性もあるため注意が必要です。

ヘッドライトの光軸ズレによる問題

ヘッドライトの光軸がズレていると、さまざまな運転上の支障が生じることがあります。

ここでは、光軸のズレによって起こる主な問題について解説します。

  • 視界が悪くなり、自分の運転が危険に
  • 対向車のドライバーに迷惑がかかる

視界が悪くなり、自分の運転が危険に

ヘッドライトの光軸がズレていると、夜間の視界が確保できず、安全な運転に支障をきたします。

特に光軸が下向きの場合、前方を十分に照らせず、歩行者や障害物の発見が遅れる可能性があります。高速道路や見通しの悪い道では、危険がさらに高まります。

適切な光軸に調整しておくことで、暗い道でも視界を確保でき、安心して運転できます。安全性を保つためにも、光軸の確認と調整は欠かせません。

対向車のドライバーに迷惑がかかる

ヘッドライトの光軸が上向きにズレていると、対向車のドライバーに強い光が直接当たり、視界を奪ってしまうおそれがあります。

このような状態では、いわゆる「グレア光」と呼ばれるまぶしさが発生し、周囲の運転者の安全な判断を妨げる原因となります。グレア光は、本来照らすべき道路ではなく、人や車の目に向けて光が漏れてしまうことで起こります。

とくに夜間の走行中は、わずかな視界の妨げが重大な事故につながるため、光軸のズレは見逃せません。実際に国土交通省の報告では、ヘッドライトのまぶしさが原因となった事故が、過去10年間で300件以上発生しています。

光軸の調整は、自分の視界を確保するだけでなく、周囲のドライバーの安全を守るうえでも重要です。明るいヘッドライトは便利ですが、方向がズレていると逆に危険を招きます。

定期的な確認と調整を忘れずに行いましょう。

ヘッドライトの光軸はズレると車検に通らない

ヘッドライトの光軸がズレていると、どのような影響が車検に及ぶのでしょうか。光軸のズレと車検の関係について、車検基準や不合格となる理由を詳しく解説します。

光軸のズレで車検に通らない理由

ヘッドライトの光軸がズレていると車検に通らない理由は、安全確保の観点から定められた「前照灯の保安基準」に適合しないためです。

車検では、ヘッドライトが正しい高さと方向を照らしているかを確認し、前方の視界確保と対向車への配慮ができているかをチェックします。

光軸が上を向いていれば対向車の視界を奪い、下を向けば前方の路面が十分に照らされません。そのため、光軸が基準から外れていると、安全性が確保されないと判断され、不合格となります。

光軸がズレる主な原因には、以下のようなものがあります。

  • 路面の段差や衝撃によるズレ
     日常的な振動や縁石への接触などで光軸が微妙に狂うことがあります。
  • 社外バルブへの交換による光の方向の変化
     純正品と発光点の位置が異なるLEDやHIDバルブでは、光軸が適正に保たれない場合があります。
  • レベライザーの設定ミス
     平成18年以降の車に搭載されるレベライザーの設定が「0」になっていないと、光軸が正しく測定されません。
  • ヘッドライトカバーの劣化
     紫外線や傷によってカバーが黄ばむと光量が不足し、光軸の検出が正確に行われないことがあります。
  • 保安基準を満たさない社外ヘッドライトの使用
     光度や色温度、照射範囲が基準を外れている製品では、車検に通らない可能性があります。

安全に走行するためにも、車検前には光軸の状態を確認しておくことが大切です。

光軸調整の車検基準

光軸が正しく調整されていなければ、車検は不合格になります。

2024年8月から、光軸検査は全国的に「ロービームのみ」で行われる新基準へと移行が始まりました。従来はロービームで不適合だった場合、ハイビームでの再検査が可能でしたが、新基準ではそれが認められなくなります。

地域ごとに適用時期に差があり、完全移行は2026年8月を予定しています。

地域適用日検査内容
全地域(旧基準)〜2024年7月ロービームで不適合→ハイビームで再検査
一部地域(新基準)2024年8月〜ロービームのみで測定(ハイビーム不可)
猶予地域(延期措置)〜2026年7月初回:ロービーム/再検査:限定的にハイビーム可

続いて、光軸の車検基準を以下にまとめました。

検査項目基準内容
光量1灯あたり6,400cd以上の明るさが必要
光軸ロービームのカットラインが規定位置にあること
色味白色(ケルビン数がおおよそ3000〜7000K)であること
状態レンズの黄ばみやひび割れ、緩みがないこと

上記の基準を満たさなければ、どの項目であっても車検は通過できません。

日頃から点検を行い、必要に応じて早めの対処を心がけましょう。

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自分でできるヘッドライトの光軸調整方法

車検前や夜間の見え方が気になるとき、自分でヘッドライトの光軸を調整できたら便利ですよね。ここでは、自分でできるヘッドライトの光軸調整方法と注意点を紹介します。

  • 壁にヘッドライトの光を当てる
  • 予備検査してから本番へ
  • 自分で光軸調整する際の注意点

壁にヘッドライトの光を当てる

ヘッドライトの光軸を確認するには、壁を使った方法が手軽で効果的です。

車を壁から約3m離れた位置に停め、ライトをまっすぐ照射します。このとき、レベライザーがある車は「0」に戻しておきます。

壁に映ったカットオフラインとエルボー点の位置を、マスキングテープなどでマーキングしておくと、調整の基準になります。

バルブ交換後やズレを感じたときは、同じ位置で光を当て直し、マーキングとズレていないか確認します。

調整が必要な場合は、ヘッドライト裏の調整ネジを少しずつ回します。上下と左右、それぞれの調整ネジがありますが、一気に動かすとズレすぎる恐れがあるため注意が必要です。

ネジが樹脂製の場合は、強い力を加えると破損する可能性もあります。固着している場合も無理に回さず、必要に応じて専門業者に相談してください。

予備検査してから本番へ

確実に車検に通すためには、検査前に予備検査を受けておきましょう。

自分で光軸を調整しても、検査場までの移動中にズレることがあり、本番で不合格となる可能性があります。

予備検査では、検査場と同等の機器を使って光軸や光量を測定できます。不適合だった場合、その場で再調整が可能です。

テスター業者は整備工場周辺などにあり、光軸検査のみなら2,000円前後で受けられます。ただし、一般利用が可能かどうかは業者により異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

自分で光軸調整する際の注意点

自分で光軸を調整する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 明るい時間帯を避け、夜間に作業する
  • 傾斜や不整地を避け、平らな場所で行う
  • 壁は地面に対して垂直であることを確認する
  • 調整中は車を動かさない
  • 自信がなければ専門業者に相談する

昼間は周囲が明るく、ヘッドライトの照射ラインが見えにくいため、夕方以降の作業がおすすめです。また、調整場所が傾いていたり不安定だと、光軸が正しく測れません。

地面は平坦で、ライトを当てる壁が垂直な場所を選びましょう。照射位置を比べるときは、車の位置がズレないよう固定したまま行うのが鉄則です。

うまく調整できない場合や、不安があるときは、車検場近くのテスター業者に依頼すると確実です。

プロに任せるなら?光軸調整を依頼できる業者と料金相場

自分での光軸調整が不安な場合は、迷わずプロに任せましょう。ヘッドライトの光軸調整を依頼できる主な業者は、以下の通りです。

  • ディーラー
  • カー用品店
  • 自動車修理店

ここでは、それぞれの特徴と料金相場について詳しく解説します。

ディーラー

確実に正しい光軸に調整したい場合は、ディーラーに依頼するのが安心です。メーカーの基準に沿った調整が行われるため、精度の高い仕上がりが期待できます。

ディーラーに光軸調整を依頼する場合の費用目安は、2,000〜5,000円程度です。

ただし、光軸調整の対応可否は店舗ごとに異なるため、事前に電話や公式サイトで確認してください。

費用はやや高めですが、信頼性を重視する方やプロによる丁寧な調整を受けたい方にはおすすめです。

カー用品店

費用を抑えて光軸を調整したい方には、カー用品店の利用がおすすめです。

オートバックスやイエローハットなど、一部の店舗では光軸調整に対応しており、買い物のついでに依頼できる気軽さも魅力です。

料金は1,000〜3,000円ほどと比較的安く、コスト重視の方に向いています。ただし、すべての店舗で対応しているわけではないため、あらかじめ確認しておくと安心です。

本格的な整備までは必要ないけれど、簡単にチェックしておきたいという方は利用を検討してみてください。

自動車修理店

コストを抑えて丁寧に調整してもらいたい場合は、自動車修理店への依頼がおすすめです。専用の測定機器を使って、車種や状態に応じた調整をしてくれるため、仕上がりの精度が高く安心です。

費用は1,500〜5,000円ほどが目安で、ディーラーと同じくらいか、少し安く済むこともあります。車検や他の修理とあわせて相談しやすいのもメリットです。

ただし、店舗によって対応が異なるため、事前に受付の可否や金額を確認しておくと安心です。信頼できる整備士に見てもらいたい方は、ぜひ検討してみてください。

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プロに光軸調整を依頼するメリット

プロに光軸調整を任せる最大のメリットは、精密で確実な調整が受けられることです。専用機器を使用することで、DIYでは難しい微妙な角度の調整も正確に行えます。

プロに依頼する主なメリットは、以下の通りです。

  • 精密機器による正確な測定と調整が可能
  • 車種ごとの特性を理解した整備士が対応
  • 他の点検や整備とあわせて依頼できる場合もある
  • 車検対応を意識した設定がスムーズに行える
  • 調整後すぐに再確認ができるため安心感がある

自分で調整する方法もありますが、少しのズレが車検不合格につながることもあります。安全性を確保し、無駄な再調整を避けるためにも、迷ったときは一度プロに相談してみるのがおすすめです。

ヘッドライトの光軸調整に関するよくある質問

光軸調整は車検のたびに必要?

光軸調整は、車検のたびに必ず必要というわけではありません。

ただし、走行中の振動やバルブ交換によってズレが生じることがあります。そのままでは車検に通らない可能性もあるため、検査前には一度状態を確認し、必要に応じて調整しておくと安心です。

自分で調整する場合はどんな工具がいる?

光軸を自分で調整するには、適切な工具と環境が必要です。正しく調整しなければ車検に通らない可能性があるため、準備は慎重に行う必要があります。

基本的な道具としては、長めのプラスドライバーまたは六角レンチが必要です。調整ネジの形状は車種によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、平らな地面と、光を照射するための垂直な壁も欠かせません。さらに、照射位置を把握するためにマスキングテープやメジャーがあると便利です。

精度を求めるなら、メーカー指定の専用工具を使うのが理想です。適切な工具をそろえることで、作業の確実性と安全性が高まります。

まとめ

ヘッドライトの光軸は、夜間の視認性や車検の合否に直結する大切なポイントです。自分で調整することもできますが、少しのズレが大きな差につながることもあります。不安な場合は無理をせず、専門業者に任せるのがおすすめです。事前にしっかり準備しておけば、車検も安心して受けられますよ。

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